校長先生からのお便り

デンバー日本語補習校では、月に一度、校長先生からのお便りをいただいております。今日は今月のお便りの一部をご紹介させていただきます。

「あ~ 勘違い」 校長 横澤広美

早いもので師走を迎え、街中は一気にクリスマスの飾り付けで彩られ、私たちの目を楽しませてくれています。
 さて、日本では12月になると、日本漢字能力検定協会が1年の世相を表す漢字一字を全国から募集し「今年の漢字」として発表しています。この取り組みは1995年から行っているものです。過去5年間の1位の漢字は以下のようになります。
  戦(2022)、金(2021)、密(2020)、令(2019)、災(2018)
 今年の募集期間はWeb上では、12月6日(水)23:59まで(日本時間)となっています。海外からの応募もできますので、日本漢字能力検定協会のHPから応募してみてはいかがでしょうか。

今年の漢字応募フォームはこちらから

さて、補習校では日本語で授業を行っています。特に話すことよりも、読むこと・書くことはとても難しいものです。
 これからの話は、我が家のことになりますが、お読みいただければと思います。

 今から15年ほど前、娘がちょうど3歳の誕生日を迎えたすぐ後に、ニュージャージーの日本人学校に赴任いたしました。それから、3年後、小学校入学前の3月下旬に帰国し、地元の小学校に入学しました。
 その頃の娘は、英語での会話は年相応にできましたが、英語の読み書き、さらには日本語の読み書きは、十分とは言えない状況でした。
 そのような中、以下の3つの勘違いが起こりました。
 ある日、家族で車に乗っていた時、娘が急に「ここは貝がつれるんだね」と言いました。貝が釣れる?どういうことかわからずにいましたが、近くのお店の看板に「つり具」と書いてあるのを発見しました。娘はその看板を「つり貝」と読んだようです。
 また別の日に、近所に買い物へ行く道すがら、また娘が急に「あそこの部屋に住みたい!」と声を上げました。前方をよく見ると、新築マンションの売り出し中で、看板には「モデルルーム」と書いてありました。当時、娘の夢はモデルになることでしたので、そこに行けばたくさんのモデルさんに会えると思ったようです。
 最後の勘違いです。日本では、市販されている棒付きのアイスクリームの中には、『当たり』が書かれているものがあり、当たった場合はもう1本もらえます。ある夜、その話を娘にしていたところ、ほかにも当たりがないか、いろいろと家にあるものを探し始めました。その時、突然「1本当たった!」と声がしました。娘は清涼飲料水のペットボトルを抱え、私のところに持ってきました。ペットボトルをよく見ると、成分表示の中に「1本あたり〇〇カロリー」と書いてあり、それを娘が『当たり』と勘違いしたようです。

このように読み・書きがしっかりするまでは大きな勘違いをすることがあります。しかし毎日の生活の中で、また新しいことを勉強する中で、一つずつ文字と言葉が一致していく。それが学びだと娘を見て感じました。皆さんのご家庭でもたくさんの「あ〜勘違い」があると思います。きっと大人になったら笑い話として懐かしく思い出されるのではないでしょうか。

 日本語と英語の両立は容易いことではありませんが、これからも教職員一同、お子様の様々な成長を願いご家庭の皆様と協力しながら、教育活動に取り組んでまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

こちらは、教室に横澤敦子先生が作成してくださった教訓「一生懸命」です。
合わせてご紹介させていただきます。

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